内富代表が国際カンファレンスに参加しました

10th Annual Conference on the Science of Dissemination and Implementation in Health (普及と実装科学カンファレンス)、およびNCI(ワシントンDC , 12月4-8日)に、社会と健康研究センター島津室長と参加してきたので報告する。

 特に、がん医療や精神保健サービスには、質の高い介入のエビデンスがありガイドラインで強く推奨されても普及しないものがある。例えば、がん予防・検診やうつ病の認知療法である。前者は日本の課題であり、後者は安易に抗うつ薬処方されるといった世界の課題である。学会主催者の一人Paul Chambers, PhD, Director, D&I Research, DCCPS, NCIによると、ガイドラインを前提にあらゆる紙ベースの普及促進資材を配布する段階までを大よそ普及研究と定義し、介入群として地域や施設を設定し、stakeholders, opinion leadersを巻き込んだRCTを行うのが実装研究と定義されていた。会社で言えば、D&I Researchは営業戦略部門が担当するといったところか。会期中1000名以上の参加者があったが、NCIのグラント設定により実装科学研究がようやく実を結び、ポスター会場は質の高い数百の研究成果で埋められた。

 

 学会場でも出会った、Paul Jacobsen 博士は、NCI, DCCPS, Healthcare Delivery Research GroupのDirectorで、Healthcare Delivery ResearchとD&I Researchの違いをNCIの彼のオフィスに訪問して尋ねてみた(写真1)。個人・施設・Population levelの観察研究と介入研究の違いであることを明確に説明された。最後に、NCIのOffice of Survivorship Researchを退官したばかりのJulia H Rowland博士の新オフィス、DowntownにあるCancer Support Programsを提供するSmith Center for Healing and the Artsを訪ねた(写真2)。両者共に、survivorship care planningの普及、特にLate effect (抗がん剤の心毒性、二次がん予防)を強調されていた。つらさのスクリーニングに関しては、網羅的ではなく、診療報酬につながるPHQ-9を勧められたこと、その後は看護師・心理師・精神科医のCollaborative Careが秀逸であると強調された。病院の評判につながるCAHPS Cancer Careサーベイに多くのがん専門病院が参加していると紹介された。 J-SUPPORTの介入、普及・実装研究、サーベイランスなどに関連して、収穫が多い訪問となった。

uchitomi_report2(写真1)

uchitomi_report3(写真2)

 中央病院支持療法開発部門 内富庸介