桜井なおみ先生よりメッセージをいただきました
Cancer Survivorshipの概念をうたったMullan Fは、「生存率の向上を目指すばかりで治療が引き起こす課題を顧みないのは、先進技術を使って溺れる人を水から引き揚げたあと、咳きこんで水を吐くその人をそのまま放置しているようなものだ」と語った(NEJM,1985;313(4);270-273.年)。
30年経った今日のがん医療の中で、変化は起きているだろうか?
私たちが2016年に発表した「がん経験者の就労調査(n=300)」では、就労継続に影響を及ぼした背景要因の第1位は「体力低下(458点)」、第2位は「価値観の変化(298点)」、第3位は「薬物療法に伴う副作用(240点)」。「手術に伴う後遺症(リンパ浮腫、排尿障害、発声など)」は185点で第6位である。
支持療法は、「がん患者が社会生活を継続する」という視点、すなわち、Cancer Survivorshipを考える上でも大変である。がんになっても安心して暮らせる社会を実現していくために、私は、支持療法の浸透を心から願っている。
(CANCER SOLUTIONS代表理事:桜井なおみ)